大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成4年(特わ)1366号 判決

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、次のとおり判決する。

検察官 加藤俊治 鈴木亨 出席

弁護人 上林博 野口啓朗 出席

主文

被告会社有限会社穂高製作所を罰金一八〇〇万円に、被告人若杉冨美子を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人若杉冨美子に対しこの裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(犯罪事実)

被告会社有限会社穂高製作所は、東京都渋谷区本町一丁目五八番六号に本店を置き、計測機器等の精密部品の製造販売を目的とする資本金八〇〇万円(平成二年一〇月二四日以前は二〇〇万円)の有限会社であり、被告人若杉冨美子は、被告会社の取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人若杉は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上げの一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  昭和六二年六月一日から同六三年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四七五二万九一四五円であったにもかかわらず(別紙1の(1)の修正損益計算書参照)、同年七月三〇日、東京都渋谷区宇田川町一番三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四七七万三九七六円であり、これに対する法人税額が四八八万一六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成四年押第一二二九号の1)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一八六三万九一〇〇円と右申告税額との差額一三七五万七五〇〇円(別紙2の(1)の脱税額計算書参照)を免れ

第二  昭和六三年六月一日から平成元年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億一〇三一万八五七一円であったにもかかわらず(別紙1の(2)の修正損益計算書参照)、同年七月二九日、東京都目黒区東山三丁目二四番一三号所轄渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一六一一万五九九三円であり、これに対する法人税額が五七九万九九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額四五三六万五二〇〇円と右申告税額との差額三九五六万五三〇〇円(別紙2の(2)の脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成元年六月一日から同二年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一億二一万七〇九一円であったにもかかわらず(別紙1の(3)の修正損益計算書参照)、同年七月三一日、前記渋谷税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二一四四万二六〇一円であり、これに対する法人税額が七六八万九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の3)を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三九一九万九〇〇円と右申告税額との差額三一五一万円(別紙2の(3)の脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠)

判示全部の事実について

一  被告会社代表者若杉正俊の当公判廷における供述

一  被告会社代表者若杉正俊の検察官に対する供述調書

一  被告人若杉冨美子の当公判廷における供述

一  被告人若杉冨美子の検察官に対する各供述調書(四通)

一  鈴木隆信の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官作成の売上高調査書、賃金手当調査書、消耗工具費調査書、事業税認定損調査書

一  検察事務官作成の捜査報告書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示第一、第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の材料仕入調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の外注加工費調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(昭和六三年五月期)(平成四年押第一二二九号の1)

判示第二、第三の各事実について

一  大蔵事務官作成の給料手当調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の雑損失調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成元年五月期)(前同押号の2)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の消費税調査書、その他所得より調査書

一  押収してある法人税確定申告書一袋(平成二年五月期)(前同押号の3)

(適用法令)

罰条 判示第一ないし三の各事実について

被告会社関係

法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項(情状による)

被告人若杉関係

法人税法一五九条一項(いずれについても、懲役刑選択)

併合罪加重 被告会社関係 刑法四五条前段、四八条二項

被告人若杉関係 刑法四五条前段、四七条本文一〇条

刑の執行猶予 被告人若杉関係 刑法二五条一項

(量刑理由)

脱税額は、三年度分で八四八〇万円に上り、ほ脱率は三年通算で八〇パーセントを超えており、脱税の手段は売上げの除外等であり、脱税の動機も会社経営の安定を図ろうとするものであるが、本件発覚後本税や附帯税、地方税などの納付によって蓄えた資金のほとんどを出資し、それらを完納しており、被告人若杉も脱税したことを深く反省していることなどの事情、その他の諸般の情状を考慮して、主文のとおり量刑した。

(求刑 被告会社・罰金二五〇〇万円、被告人若杉・懲役一〇月)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 松浦繁)

別紙1の(1) 修正損益計算書

<省略>

別紙1の(2) 修正損益計算書

<省略>

別紙1の(3) 修正損益計算書

<省略>

別紙2の(1) 脱税額計算書

<省略>

別紙2の(2) 脱税額計算書

<省略>

別紙2の(3) 脱税額計算書

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!